2019年度後期 発表8 地域学校協働活動―江東区立中学校での取り組み

発表者:桑原真弓

テーマ: 地域学校協働活動―江東区立中学校での取り組み

発表者が実際に関わってきた江東区立中学校における学校・地域連携教育の実践報告である。

最近の日本社会において貧困による学力不足が問題化しているが、東京都内の小中学校でも例外ではない。実態調査によれば、貧困による子供の教育格差は10歳頃から現れる。落ちこぼれた生徒は授業が分からないので、教師の指示に従わず、やがて不登校になるという。この問題を解決すべく江東区立中学校では10年ほど前から独自の取り組みを行っている。一つは「学校内の塾」で、塾と提携して学校内で英語の補習授業等を行っている。もう一つは―こちらがより本質的なものだが―江東区に住む退職者・高齢者等を講師として特別授業が実施されている。これらの人々は退職ボランティアではあるが、様々な分野の高度な知識と豊かな経験を持っている。江東区立第三砂町中学校では土曜日・夏休み・冬休みを利用して様々な補習授業を行っている。ボランティアと生徒のニーズは相互に合致し、また年齢差から相性も良い。前者は生甲斐を、また後者は学ぶ喜びを見出す。その結果、有益な相乗効果が生まれ、例えば、英検の合格者数が増えたという。

この興味深いコミュニティ・スクールの実際については三砂中のホームページで見ることができる。

http://3suna-chu.koto.ed.jp

現代研究会

「文化と社会に関する様々なテーマ、諸問題を取り上げ、過去から未来への歴史的視野で考察し、議論を行う」ことがこの研究会の目的です。