2019年度後期第2回現代研究会報告
日時:2019年11月9日(土)13:30~17:15
場所:立教池袋キャンパス13号館1F会議室
人数(12名):
発表1
発表者:平林二郎
テーマ:宇都宮の地域創生—現状と課題—
栃木県宇都宮市の歴史と現在に触れた上で、近年における地域創生の経緯と現状、 近未来の構想が述べられた。宇都宮と言えば餃子と言うほど、日本中にそのイメージ が定着している。確かに餃子による街おこしは大成功を収めたが、それに続いて市が 期待したいくつかの宇都宮ブランドはあまり成果を上げていない。餃子のインパクトが 強すぎたのか、それ以外に「売り」がないのが最大の悩みである。その一方で、市は 将来予想される人口減に対処するため、ネットワーク型コンパクトシティの構想を打ち 出した。その一環としてLRT(路面電車)を東西に走らせる準備が進んでいる。発表で は、構想の持つ様々な問題点が指摘され、また富山市などとの比較分析がなされ、 この関東中部の中心都市における地域創生の現状が活写された。
発表2
発表者:細川けいこ
テーマ:地域創生 女性(潜在層)活躍の問題点
地域創生における女性人材の活用、登用を巡る諸問題が取り上げられ、分析・考察 された。出発点として、内閣府が施行した「男女共同参画社会」の趣旨とその問題点 が述べられた。この法律は男女が意欲に応じてあらゆる分野で活躍できる豊かな社 会を目指すものであるが、現代日本の実情がまったく無視されている。例えば近年、 第二次産業などにおける人手不足が顕在化しているが、これらの大半は力仕事など 男性向きの職場であり、女性の進出は容易ではない。また役所などで女性の登用に 関して大きな地域差が存在する。産業世界では日本は現在でも依然として男性中心 社会である。「潜在層」女性の活躍のためには現状の抜本的な改善が必要であるが 、政府の対策は「起業」女性支援などニーズとずれているものが多い。
発表3
発表者:平明子
テーマ:言語と方言 〜方言の持つ可能性をめぐって〜
宮崎県西諸地域の小林市で話されている方言、諸県弁とその活用が述べられ、地域
創生における方言の可能性が考察された。はじめに方言の定義とGB理論における「
核と周辺」の概念が述べられた。ついで先行研究などに基づいて、CMや広告などの
情報発信における方言の有効性が考察された。諸県弁には他地域にはない独特な
表現が数多くある。小林市はこれを市の地域創生に生かせないかと考え、PR動画の
随所に織り交ぜてユーモラスな(あるいはポジティブな)効果を出すのに成功した。そ
の結果、市への移住者数が増え、ふるさと納税が激増したという。発表では実際の動
画が独特な表現とともに紹介され、方言の有効利用、意味ある発信になるための諸
条件が分析され、考察された。
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