2022年度後期現代研究会発表9 Sthai - Odissi dance(YouTube動画と解説)
2022年度後期現代研究会発表9
Sthai - Odissi dance(YouTube動画と解説)
2022年12月 17日
神谷暁子
2021年、本研究会でOdissi Dance(オディッシーダンス)について発表した。
オディッシーダンスとは、インド東部のオリッサ州に伝わるインド古典舞踊である。
舞踊との出会いは、インド滞在中に日本で経験出来ない踊りを習う、という思いに端を発したものだった。
日本ではあまり馴染みのないインド古典舞踊だが、衣装の鮮やかさやインド独特の仕草は興味を引く一番の入り口だろう。
これまで「インドの踊りを習っている」と日本人に紹介すると、両手を胸の前で合掌する姿や、顔を正面に向けたまま首を左右に振る仕草を連想されることが多い。
このことから「インドの踊り」には、日本人の中にある程度の共通認識があると考えられる。
今回の発表では、オディッシーダンスの演目の一つ「sthai(スタイ)」について解説した。
「インドの踊り」に一定のイメージはあるようだが、演目には物語が存在する。
解説には、2019年に神戸で開催されたイベント「India mela(インディア・メーラー)」での動画を用いた。
下記の動画リンクを参照していただきたい。
https://www.youtube.com/watch?v=-ZdOIG3Uhqc&t=454s
以下、解説。
演目は、音楽に合わせて彫刻が動き出す場面から始まる。
彫刻が舞台をゆっくりと歩き、身体が少しずつほぐれて柔らかい動きになっていく。
身体が自由に動かせるようになると、彫刻は身支度を始める。
まずネックレスを身に着ける。観客にネックレスを見せ、首の後ろで結ぶ。
次は足首に鈴のついた長い紐を巻く。
この鈴のついた紐はグングルといい、多くのインド古典舞踊で実際に使用している。
鈴を身に着けたら、次はサリーを身に纏う。
サリーは現代インドでも日常的に着られており、約8メートルの一枚布だ。
踊りにも、腰で結ぶ仕草が組み込まれている。
ここで小休止が入る。
一休みした後は、頭に飾りを付ける。
飾りはタヒヤといい、動画内の踊り手も装着している白い冠の様なものだ。
我々が装着しているタヒヤは木製で、とても軽い作りになっている。
身支度の最後は、化粧で締めくくられる。
手鏡を見て頬紅を入れるような仕草。
額に赤色の印(ビンディ)を施す様子が見て取れる。
準備を終えた彫刻は楽器を演奏し始める。
はじめは弦楽器のシタール。
右手で弦を弾き、視線が弦を押さえる左手を追う。
続いて横笛。
次は小さなシンバルに例えられるマンジーラ。
最後は太鼓を鳴らす。
彫刻はそれぞれの楽器を鳴らしながら、舞台の隅々を駆け回る。
そして音楽の終わりと共に、彫刻は緩やかに元の姿へと戻っていく。
今回解説した演目には登場しないが、演目によっては感情の起伏に富んだ神様の物語もある。
古典舞踊に限らず、個人にとって馴染みの薄い事柄に触れる際、入り口として歴史や物語が役に立つと考える。
Odissi Danceに限らずインド古典舞踊に触れる機会になればと思い、この場を借りて踊りの解説を残させていただく。
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