2021年度前期現代研究会発表12 大震災後の信仰心の変化
2021年度前期現代研究会発表12
大震災後の信仰心の変化
2021年7月24日
村瀬洋一
信仰心の変化や、震災後の近所付き合いの変化について、2015年に福島市にて実施した「生活と防災に関する意識調査」データを用いて計量分析を行った。「震災後に神を信じたり信仰心を持つようになった」という問については、高齢の男性で肯定が多いが肯定は1割ほどだった。「震災後、近所の人達とのつきあいが深まった」という問も高齢ほど肯定が多く、60歳以上女性で4割ほどだった。これらを被説明変数として、その規定因を解明することを目的に、重回帰分析をおこなったところ、男性に関しては、高年齢ほど、また性別役割意識を持つ者ほど、信仰が増えたと答える傾向があった。また、震災前に持ち家があった者と、主観的健康観が高い者ほど、否定的に答える傾向があった。女性に関しては、年齢と性別役割意識、被災者ダミー変数が効果を持っていた。なぜ女性の被災者が信仰が増えたと答えるのかについては、さらなる分析が必要であろう。つきあいに関しては、男性は年齢と居住年数率のみ、女性は、年齢、教育年数、家族人数、階層帰属意識、被災者ダミー変数が有意な効果を持っていた。
なお、国際的な社会調査であるISSP調査2018によれば、宗教を信じていない人は日本64%、韓国47%、台湾13%であった。先進各国の中でも、無宗教の人は、日本がもっとも多かった。また、宗教組織の力が強すぎるという問については、日本47%、韓国66%、台湾58%が強すぎると答えていた。
0コメント