2020年度後期発表10 将来不安感と政治意識

2020年度後期発表10

将来不安感と政治意識

村瀬洋一

 戦後日本は急激な産業化と高学歴化、都市部への人口移動が進むにつれ、支持なし層が増え、東西対立や、保守と革新の対立を背景とした政治意識の説明は、やや困難になりつつある。ただ、都市部の労働者層を中心に、公明党という宗教政党がある程度の存在感を持ってきたことは事実である。都市部に流入し、故郷での農村的人間関係から脱出した大規模な人口のうち、ある程度を支持基盤とした公明党も、最近では、元々の支持組織の高齢化や、その子供世代の高学歴化など、変化が進んでいることが考えられる。しかし、政治意識の変化について、その詳しい実態や、社会階層との関連は、必ずしも最近の研究は進んでいない。本研究は、人々の社会的地位と、政治意識や将来不安感、不平等への態度に関する変数との関連について、統計的社会調査データを用いて分析を行い解明することを目的とする。

現代研究会

「文化と社会に関する様々なテーマ、諸問題を取り上げ、過去から未来への歴史的視野で考察し、議論を行う」ことがこの研究会の目的です。