2020年度前期第4回現代研究会報告
日時:2020年7月18日(土) 13:00~16:00
場所:オンライン(Zoom会議室)
発表1
発表者:桑原真弓
テーマ:『古事記』に見る日本の神々
要約:日本最古の神話である『古事記』についての発表である。『古事記』編纂の経緯が述べられた後、主に上巻である最初の神々、アメノミナカヌシノカミ、タカムスビノカミ、カミムスビノカミの出現からニニギノミコトの天孫降臨までが物語風に語られた。『古事記』の中でも最もドラマチックな部分である。神世七代の最後のイザナギノミコト、イザナミノミコトの夫婦神の時、神話の物語が本格的に動き出す。二人の愛から日本の最初の島々が生まれ、また様々な神々が誕生する。火の神を生んで死んだイザナミを追ってイザナギは根の国に行くが、死の姿を見られて逆上したイザナミによって追い返される。やがて子供である太陽神、アマテラスオオミカミの時代になり、弟の荒神、スサノオノミコトが引き起こす一連の事件がユーモラスに語られる。この奇想天外なトリックスターはまた八岐大蛇退治をするなど重要な存在である。それから六代目のオオクニヌシノミコトが葦原中国を建設する。しかしこれを好まない高天原のアマテラスとの間に争いが起き、いわゆる「国譲り神話」によって幽界に閉じ込められる。発表者は『古事記』に現れる日本の神々に神々らしくない人間臭さを感じ、親しみを覚える。彼らが紡ぎだす物語はあたかも現代の人間ドラマであるかのようである。詳しくはホーページ掲載予定のエッセーを参照されたい。
発表2
発表者:竹内和正
テーマ:江戸期の仏教思想
要約:明治期の廃仏毀釈に至るまでの江戸期の日本仏教の状況はどういうものであったのか。何故これほどまでに否定されることになったのか。江戸期の仏教の実態については白隠、沢庵、良寛、一休などの有名な禅僧を除いてはほとんど知られていない。発表者はこのテーマに取り組むに際して文献等を調査し、その結果に基づいて江戸期における仏教諸派の動向、教学の展開、主な事件等を歴史的に叙述しようと試みた。その詳細な内容の要約は容易ではないが、江戸期仏教の主な特徴として、幕府が仏教をキリスト教対策として利用したこと、その幕府の保護下に各宗派の教学・学問体系が確立したこと、しかし論争の禁止等、一部の過激な宗派を弾圧したこと、さらには、その結果であろうか、鎌倉期のように新しい宗派が誕生しなかったこと等が挙げられた。この時代に仏教は深く民衆の中に根を下ろし、仏教関連の年中行事が定着した。また寺子屋に見られるように教育の場ともなった。江戸期は仏教の全盛時代であった。だがそうした実態をあらためて知ると、明治期の廃仏毀釈のルーツが漠然としてくる。続編が期待される。詳しくはホームページ掲載予定のエッセーを参照されたい。
おわりに
次回研究会:
7月25日(土)13:00~15:30
発表者とテーマ:
村瀬洋一:社会意識と社会階層
吉田秀登:戦後日本の宗教書
(敬称略)
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